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2022/05/02

日本語でものを考えない時とは。

前回の、答えを言います。

例えば、野球やサッカー、バドミントンや卓球などのスポーツをしている時。
プレイ中の意識や考えを、いちいち言語化して考えていますか?
ピッチャーが球を投げてから打つまでのほんの短い間、球速やコースや変化、打つか打たないかの判断など、いろいろなことを考えるはずです。
しかしそれを、言語化している余裕はありません。
「ストレートだと思ったらフォークボールで急に落ちたので、それに合わせてうまくすくい上げたらスタンドに入ってくれた」など、後付けで言語しているのです。

車の運転をしてる時も、そうです。
目の前の道路がどんな状況で歩行者がどこにいるのかなど、すべて言語化せずに画面だけで認識しています。

言語が出てくる暇もないほど急いではいない時でも、自宅の部屋の間取りなどはすべて、言語化せずに画面だけで覚えているはずです。
言語処理には時間がかかり、またその情報量をいくら増やしても、画面一枚には負けてしまうからです。
あなたの部屋の様子を言葉でいくら説明するよりも、写メ一枚を送ったほうが正確なのです。

これを「百聞は一見に如かず」と言います。
つまり、画面思考は言語思考よりもはるかに効率的なのです。

さて「絵と音で、遊ぶ中国語。」の「絵」というのはイラストだけのことではなくて、「画面思考そのもの」を表しています。
この効率のいい思考を、赤ちゃんはせざるを得ません。
しかしだからこそ、母語は非常に深く純粋に習得できるのです。
大人は効率の悪い「文字思考」、赤ちゃんは効率のいい「画面思考」。

大人もこれに準ずることで、効率の良い言語学習が可能になるのです。
スポーツ選手などは画面思考がよく訓練されているので、外国に指導などに行っても習得が早いのです。
反対に、理数系など公式や理屈で考える人は、その方面では頭がよくても語学が苦手だったりします。
理数系の脳の使い方は、言語習得には不向きだからです。

情報の多さと処理の速さで、「画面思考」の訓練は語学習得の大切な基礎となります。
文字から入らないのには、こんな理由があったのです。

また同様に画面思考を用いる、スポーツ・美術・楽器演奏などのジャンルの強化にも役立つ、有効な脳トレともなります。

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stinighthawk4.3@gmail.com


図の説明。
どんな言語であっても、心で感じたことをそのまま表せるほど機能のいいものはありません。
心で感じたことは言語で表せるものよりはるかに大きく、母語であっても伝達時間がかかります。
(母語は普通0秒で起動できますが、0秒も時間のうちです。) 
心で感じたことを、神経伝達を経て日本語の倉庫から適切な表現を見つけて組み上げ、外に出します。
言語化する前の心の状態には、国籍や人種の違いはありません。道具として使っている言語が違うだけです。
伝達回路を、日本語以外にも構築すること。それが外語学習。
ゆえに、母語と同じ制作経路をたどらないと失敗します(日本語へ向かう神経ルートは使わず、新しい神経ルートを制作する)。
日本語から独立した外語回路を持つ本物のバイリンガルは、これでしか作れません。

日本語でものを考えない時とは。
日本語でものを考えない時とは。