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2022/06/01

「脳の使い方を指導する」とは。

まず、図をご覧ください。

この図の「ルートA」は、以前言った「動かないファイル」です。あなたの心と中国語は直接つながっていないため、最初に出るのは日本語、それから転換時間を経てようやく中国語に辿り着きます。

そして「ルートB」は、心と中国語が直接つながる神経回路を新設するため、すぐに口から出ます。

当然、私はルートAを避け、ルートBを生徒さんの頭の中に構築するように指導するわけです。
しかし、運動と違い頭の動きは目に見えません。
目に見えないものを、私はどうやって指導するのでしょう?

答えは「ファイル性質の違いから見分ける」です。

まず、ファイルを脳内に入力する際、ルートAは「理解」するだけだから一度解説をすれば終わりです。
例えば、中国語の「蘋果」は日本語の「りんご」です、と一度言えば済みます。何度も言わなくていいです。
しかし、ルートBは理解ではなく反射を求めるため、日本語で「りんご」だと認識せず「蘋果」の発音が先に出るまで、何度も反復練習する必要があります。

つまり、ルートBを構築するために何度も練習させているのに「先生、それはわかったからもういいよ」と言う生徒は、ルートAを構築しようとしているわけです。
ルートAは「理解」なので、理数系と同じく同じことを何度もやる必要はありません。しかし、
ルートBは「反射」なので、同じことを何度も繰り返す必要があるのです。
神経反射は、繰り返さないと形成されません。
これは、語学・体育・芸術などに共通するファイル形式。
つまり、ルートAは「理解」、ルートBは「反射」であり、それぞれちがう種類のファイルなのです。

ルートAに陥っている場合、転換時間がかかるので分別できます。
「これは何ですか?」
「あれはりんご、りんごは中国語で「蘋果」。
これは、答えが合っていても0点です。
もうおわかりのように、このファイル形式ではいくら努力しても反射レベルでの会話は一生できないからです。

一方、ルートBは無時間反応です。
「これは何ですか?」
「香蕉(バナナ)!」
これは、答えは間違っていますがルートBを使っているのでファイル形式は正しいです。
なので50点、答えを差し替えれば100点です。
ルートAを使ったら、答えが合っていてもファイル形式から間違っているので0点、
ルートBを使ったら、答えが間違っていてもファイル形式が正しいので50点。

0はいくら累積しても0なので、ルートAをさまよっている限り、迷路からは抜け出せません。
「まだ慣れてないから反応が遅い」のではありません。
「脳の使い方が根本から間違ってるから」正解を知ってても会話にならないのです。

幼児英語などで使う「フラッシュカード」は、まさにこれを目的としており、時間をかけないためにはルートBを作るしかありません。考える時間を与えると、たいていの人はルートAを構築してしまうのです。

「理解」は一瞬でできますが、使う時には転換時間がかかります。
「反射」は反復が必要ですが、使う時には一瞬。

このちがいを認識し指導できるかどうかで、結果が大きく変わります。

「脳の使い方を指導する」とは。
「脳の使い方を指導する」とは。