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2022/07/25

母語が0秒でわかる秘密。

前回は、「聞く時は、文字でなく絵にすれば情報処理が効率的」と伝えました。

聞いた内容を文字でなく画面に転換処理するのは、他にもいろいろな利点があります。
一つは、「情報量が増えても聞く速さは変わらない」です。
図を見てください。
前回の文より、②の単語が一つ増えています。
「①今天②下午兩點③有一個好朋友④來了我家」
「①今日②午後二時に③親友が一人④私の家に来た」
文字に転換すると一次元なので、文が長くなると解析時間が増えます。
例えば一単語一秒で解析すると、四秒かかることになります。
しかし絵は二次元なので、情報量が増えても同じ一枚の空間内に収まります。
しかも全部の単語が0秒でわかるので、聞き終わる時間とわかる時間は一緒です。
これに対して外語はすべて文字から習うので、特別な訓練をしない限り文字に転換して時間がかかるのです。

これが、多くの人が検定試験などの聴解力テストに苦しむ理由です。

赤ちゃんは文字を知らないので、自然と音を画面に転換します。なので母語は0秒で聞けるし、逆に聞いてからわざと数秒後にわかろうとしても、できません。
対して外語は0秒で聞けないし、母語のようにすぐわかろうとしても、できません。

これは「音を文字に変換するか画面に変換するか」と言う脳内処理の違いによるものなのです。
この差を努力で埋めることは、決してできません。
「外語難民」から脱出するには、正しい脳の使い方を教えられる人に学ぶ必要があります。

母語が0秒でわかる秘密。
母語が0秒でわかる秘密。

2022/07/20

次元の違う聴解力。

質問の多い、ヒアリングのことを説明します。
聞き方には、「絶対に外せないコツ」があります。
しかしそのコツは、私の知る限りどこのスクールでもどんな本でも、完備した説明を聞いたことがありません。

例文を使って、どんな風に脳を使って聞くべきかを解説していくので、ヒアリングを改善したい方はよく聞いてください。

例文;
「①今天②有一個好朋友③來了我家」
「①今日②友達が③家に来た」

大抵の人は、「聞いた音を文字にして」しまいます。文字は一次元であり、前後があります。
なので相対関係を把握するのに時間がかかり、母語のように0秒では聞けません。
それどころか「聞いた音を頭の中で発音記号にしなさい」などと言う指導者までいます。
拼音でアルファベットにすると漢字よりさらに文字数が増え、その上四声記号までつけなければなりません。
こんなやり方をしていたら、わざわざ低効率な聞き方を身に付けることになってしまいます。
「頭の中に文字が印刷される聞き方」は、絶対にダメ。

では、正しいやり方とはどんなやり方でしょう?
図を見てください。聞いた後に、こんな風に頭の中に一枚の絵を作ります。
絵は二次元であり、図のように相対関係が時間差なく把握できます。
文字通り、「聞いたものを字にするのと絵にするのとは次元が違う」のです。
能力ではなく次元の違いなのだから、努力で追いつくことはできません。
なお恐ろしいことに、大人は文字から習うので一次元的な聞き方が身についてしまうのです。
しかし、赤ちゃんは文字を知らないので最初から二次元的な聞き方をせざるを得ません。

赤ちゃんは文字を知らないから、母語は絵で聞く。
大人は文字から習うから、外語は文字で聞く。
これでは、大人がいくら努力をしても赤ちゃんのように習得できないのは当然なのです。

次元の違う聴解力。
次元の違う聴解力。

2022/06/27

もっとも簡単で有効な方法とは。

今回は、当教室の授業のやり方が一般とはどう違うのか、例を挙げて説明します。

まず、Aの図をご覧ください。
一般のやり方では、こんな順番で教えていきます。
①発音記号を、一つ一つ覚える。
②覚えた発音記号を組み合わせる。
③四声の記号を加える。
④漢字を加える。
⑤翻訳を覚える。
こんな感じです。
わずか漢字二字分の単語を覚えるのに、こんなに苦労をします。
しかも四声は文字一つにつき一つなので、4×4=16通りもの組み合わせがあります。
うろ覚えの場合、正解確率は16分の1(!)
これらの発音記号、四声記号、漢字、翻訳、それらをすべて覚える必要があります。
しかも、これらの要素はすべて「文字」だけ。画面を見た時に反射的に出るのは、やっぱり日本語。
「雨が降るって、中国語で何というんだっけ?」となって、大抵は四声の不正確な中国語が途切れ途切れ出てくるだけ(泣)。

次に、Bの図を見てください。当教室では、こうします。
①発音を丸ごと耳コピする。
②画面を加える(「ついでに」字も書く)。
③何度も反復する。
これだけです。

こんな簡単なやり方ですが、学習効率でAのやり方を軽く凌駕します。
具体的には、
1.発音がいい。
2.四声は16分の1ではなく1分の1。
3.画面を見たらすぐ反応できる。

生徒の資質が同じ場合、
Aは、のっそりした反応で不正確な音しか出ません。
Bは、素早い反応で正確な音が出ます。

根拠は、
1.文字を見ないで耳だけに集中するから。
2.日本人が「雨」と「飴」の音調を間違えないのは、発音と声調をバラバラではなく一緒に覚えているから。
中国語も全く同じ方法でやれば、1分の1。それしか出ない(四声記号は補助的にのみ使用し、耳コピを主とすることで迷ったり間違えたりしにくくなる)。
3.画面から音を立ち上げる練習をするので、画面を見たらすぐ音が出る。

AとBの図を見比べればわかるとおり、Bには文字がほとんどなく、音声と画像のみです。
Aはどれだけがんばっても、「頭の中に文字が印刷された状態」です。
頭の中をBの状態にまとめてしまえば、「覚えやすく忘れにくく、反応が速い」ファイルになります。
何語であっても、母語はBのやり方しか使いません。

練習は、耳コピした音を使って以下のことをするだけです。

見た画面を音声に転換する→「話す」
聞いた音を画面に転換する→「聞く」

ここに日本語は、一切入っていないし必要ありません。
バイリンガルとは、この簡単な原理を広げていくだけで簡単にできるのです。

絵と音をつなげ遊ぶつもりで何度も反復するだけで、どんな言語も習得できます。



もっとも簡単で有効な方法とは。
もっとも簡単で有効な方法とは。

2022/06/20

リスニング練習は、無駄。

「聴解力を上げたいのですがどうしたらいいですか?」と、よく質問されます。

これは、質問自体が間違っています。
聴解力を上げるための練習は、する必要がないからです。

前回の図を見てください。
会話においては、下の段の「書く・読む」は簡単なので自習できます。
貴重なレッスン時間をつぶして、やることではありません。

同様に「聞く能力」は「話す能力」の一部分なので、そこだけを取り出して練習するのは時間の無駄なのです。
自分が話せる内容は、全部聞くことができます。
しかし、聞ける内容が全部話せるとは限りません。
話すというのは「正しい発音やイントネーションを、正しい順番で並べる」と言う作業が必要だからです。
聞くためには、それらは必要ありません。

それに「まず相手の話を聞いてそれを理解してから、正しい答えを考える」などの受け身的な発想では、いつまでたってもしゃべれるようになりません。
あなたが映画スターとか超絶美人などの特別な存在でない限り、誰も向こうから話しかけてはきません。

自分から話題を振れば、相手の答えはそれに対応しているので予測もつき、余裕で主導権を握れるのです。
また「この人は話せる人」と印象付ければ、次回も話し相手になってくれます。

なので、自分から何かを聞くこと、それに対する答えも自分で考えること、それで一人でも会話練習ができます。
「相手がいないから会話練習ができない」などと考える人は「まず聞いてわかってから答えを考える」と誤認しているので、実際に外国で生活しても決して上達しません。
方法や認識が正しくなければ、どんな環境にいても同じです。
ニューヨークに10年いても全くしゃべれない人がいるのは、こうした理由からなのです。

なので「しゃべるための練習」以外はほぼ時間の無駄です。
授業時間だけでは絶対足りないので、ぜひたくさん自主練習を繰り返しましょう。
そこは、俳優さんが台本を読みこなす、ピアニストが発表曲を練習する、そんな気持ちが必要です。
理解して暗記して次に進む、そのやり方はもうやめましょう。
話す練習だけで、もう9割方の習得は終わっています。

*聴解力にも秘訣があるのですが、それは次回の機会に。



リスニング練習は、無駄。
リスニング練習は、無駄。

2022/06/20

正しく自分の実力を測る方法とは。

まず、図を見てください。

この図は、「話す・聞く・書く・読む」の四つの要素を分析したものです。

横の段は、速度を表します。
上の段の「話す・聞く」が「快」で、
下の段の「書く・読む」が「慢」です。

縦の段は、情報のアウトプットとインプット。
左の段の「話す・書く」が情報の出力、
右の段の「聞く・読む」が情報の入力。

まず、速度の快・慢はどちらが難しいでしょう?
同じ情報なら、早く処理するほうが難しいので上の段です。

では、情報の出力と入力はどちらが難しいでしょう?
情報は、受けるよりも出すほうが難しいです。
なので、左の段が難しいです。

つまり、この四つの要素の中で一番難しいのは情報を早く出力する「話す」で、一番簡単なのはゆっくり入力する「読む」なのです。

ところが多くの人はこのことを知らず、一番簡単な「読む」で自分の実力を測ります。
例えば教科書や参考書を選ぶ時、「見てわかるか」を選択基準にしてしまっています。
つまり、最も簡単な要素で自分の実力を過大評価してしまうのです。

これでは、根本から間違えています。
正しくは「どれだけしゃべれるか」が実力の基準になります。
なので、高校大学生はもとより、英語教師もほとんどが実力ゼロです。
しかし正しく認識して、そこを出発点として練習を始めればいいだけです。

日本人なら中国語をちょっと勉強すれば、新聞くらい軽く読めるようになります。
しかし「新聞の内容を自在に話すことができる」のとは、格段に難度が違うことがわかると思います。

一番難しい「話す」=情報の快速で処理して外に出す、これを訓練目標にするのです。
これを意識するかしないかだけで、習得の効率は大きく変わります。

正しく自分の実力を測る方法とは。
正しく自分の実力を測る方法とは。